海洋天堂

父親が自閉症の息子に、自分が死んだ後も一人で生きていけるようにと
必死で頑張る話です。

こうゆうテーマの作品は、ベタで押しつけがましく成り易いものです。

そう成っていないのは、監督の冷静な視点と誠実さでしょう。
父親の息子への愛情の注ぎ方は、父性と言うより母性に近いと感じます。

「お前はお前のままで良いんだ。そのままで生きて行って欲しい。」
という言葉が表す愛情の深さと、息子に注がれる温かな眼差しに胸を打たれます。

子供を持つ人なら、この父親の親としての覚悟と愛情を手本にする事が出来、
若い人なら、自分が親からどれだけの愛情を受けて育てられたかを
再認識出来るのではないかと思います。

そして悲しい話であるのに、鑑賞後は優しく穏やかな温もりに包み込まれ、
また爽やか印象の残る作品でもあります。

傑作とか名作というレベルでは無いと思いますが、大変丁寧に繊細に
親子の絆の深さを描いてあると思います。

出演者達の熱演も素晴らしい。


こうゆう作品がミニシアターでしか上映されないという現状を
一映画ファンとして悲しく思います。